はっぴーでいたい

演劇と推し活、おまけで日常的なことを書いてます。

前とか後ろの前って誰が決めたんだよ!

『悟浄出立


【前向きになりたいときに読む本】(★3.5)

 

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悟浄出立 (新潮文庫) [ 万城目 学 ]
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西遊記」の孫悟空はとても有名だけれど、他の豚と河童についてはあまり印象に残っていない。

私の中の西遊記の一番古い記憶は、たしかフジテレビのドラマで香取慎吾と深津絵里が悟空と三蔵法師に扮していたはず…というあいまいなもの。

そんな人も多いと思う。


作者の万城目さんは、教科書にも載っていた「山月記」で有名な中島敦が残した「わが西遊記」からインスピレーションを受けたらしい。

中島敦が書いた物語は、あまりに目立たないメンバー「河童の沙悟浄」からみた悟空と三蔵法師のお話を残している。

が、豚の猪八戒のお話を書く前に中島敦はこの世を去ってしまった

その続きが読みたかった!という思いをこめて書かれたのが、この「悟浄出立」。

沙悟浄は印象にも残らないパッとしない男だ。
しかし、観察する目をもっているので旅の仲間について冷静に考察している。
語り口に少し毒があり、ついついクスッっと笑ってしまう。
恐らく根暗。でもそこが愛せる!

冷静だからこそ、自分も観察してしまい 俺にはコレは出来ない と線を引きがちな悟浄が少し前向きに 一歩踏み出そうかな… と思うきっかけのお話。