【芥川賞】「コンビニ人間」の面白さと怖さ
「コンビニ人間」を読んで。
『普通』ってなんだろうって考えるきっかけになる作品。
あらすじ
常識、暗黙の了解とされていることが分からない主人公。
小学生の頃には、クラスメイトの取っ組み合いのケンカを止めるように言われ、殴りつけて黙らせるという結果に最短で辿り着ける手段を取ってしまう。
彼女には、言葉の機微や空気を読むことが難しい。
『ケンカを止めさせクラスを平穏な状態にしてほしい』と要望を丁寧に伝える必要がある。
自分はどうも他の人とは違うらしいと自覚していたため、静かに学生生活を送ることに決める。
大学生になり、コンビニでバイトを始めマニュアルに出会う。
お辞儀の角度、何時にはどんな作業を終わらせる必要があるなど事細かに指定されているそれが人生の指針になる。
指示があれば、世間が求める普通馴染めた。
しかし30代半ばを超えてもコンビニバイトであること、結婚していないこと、恋愛経験がないことを周囲に口煩く言われ普通を求めて、突飛な方向に試行錯誤していく…。
文体は淡々としているのに、グサリと刺さる瞬間がありました。
おそらく、同じような体験をどこかでしていて掘り起こされたり、肌で感じていた疑問を言語化されたからなんだと思います。
かなり窮屈な思いをしているはずなのに、他人事の様に描かれていて苦しくなることはありません。
『暗黙の了解、ランク付け、普通でいること』
社会にいれば何かしらの圧力を感じたことがあると思います。
それを煮詰めて煮詰めまくった本なのに、彼女がこの先どう生きるのか気になってあっという間に読んでしまいました。
普通の圧力を感じたことがある人にぜひ読んでほしいお話です。